習志野に、住んでみソラシド♪

 千葉県習志野市「移住定住促進PR事業」のポスタークリエイティブを担当いたしました。

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 少子高齢化、人口減少が進む日本の、ほとんどの自治体で今一番の課題としてあげられるのが「移住・定住促進」。その中でも特に求められるのが、子育て世代を中心とした若い世代の移住定住です。国が提唱する「地方創生」「一億総活躍社会」の実現や、財源確保の観点からもそれは必然でそれこそ日本全国で求められているわけですが、人口というパイは決まっているので、隣町同士で「はないちもんめ」的な、住人の仁義なき奪い合いになっているわけです。

 

 日本のあらゆる都市にはそれぞれの特徴があり、その特徴を「魅力」と感じられれば人はそこに住み、根をおろし、風とともに生き、生活を営みます。ですがもちろん、私たちがその魅力自体を直接造ることができるわけではないので、魅力を探し、広告の形にしてお届けすることが今回のミッションです。

 

 

 これまで「習志野」という場所に対しての私の知識は、「名前は聞いたことがある」という程度で、何か特別なイメージを持ったことはありませんでした。「津田沼」が習志野市だということも初めて認識した、というレベルです。住みたい街になるにはブランドイメージが非常に重要ですから、私のようなほとんどイメージを持たない人たちに「いかに良いイメージを持ってもらうか」を今回の目的としました。

 

 都内に通勤する子育て世代をターゲットにするということで、東京都内のターミナル駅に掲載することにしました(同時期に弊社キャラクターとのコラボ映像を京浜東北線でも放映し、印象値を高めます)。ということで、いかに目に留まるかも重要な課題です。そんな中、街を歩き回ったり、資料を調べたり、担当の方のお話を伺っている中で、「これと言って特徴が無い」という言葉を耳にしました。これは実に多くの自治体の方から聞かれる言葉です。もちろん謙遜もあるでしょうが、これはほとんどが「身近すぎて気付いていない」または「当たり前のことと思ってしまっている」のが原因だと思います。が、人が住んでいる以上、そこに魅力が無いわけはありません。

 

 案の定、少し粘っただけで「子どもの教育にはかなり力を入れている」ということが分かりました。これはとても重要なファクターです。なんと言ってもターゲットは「子育て世代」なのですから、ドンピシャです。私自身がまさにこの子育て世代なのですが、実のところ本音を言えば「子どもは勝手にまっすぐ育ってほしいな」と常々感じていまして、それを街が担ってくれるとしたらこんなに幸せなことはありません。ただし他にも教育に力を入れている地域は数多く存在しますので、習志野だけの魅力として表現できるか?というのが大きな壁でした。

 

 そのようなイメージを、今回ディレクションとコピーを担当した佐藤くんに伝えたところ、彼が注目したのが習志野の「習」と「志」の文字です。まさに教育をイメージさせる感じがふたつも市の名前に入っていたんです。自治体のブランドイメージ向上には、その地名自体の認知度向上もとても大切です。習志野という、やたら字面が固い名前を、なんとかうまく活用できればとも考えていましたので、一石二鳥でした。

 

 DLEは「キャラクターソリューション」を得意とする会社です。習志野市には、すでに認知度のある「ナラシド♪」という立派なキャラクターがいました。ポスターを目立たせるため、彼をビジュアルの中に取り込むことは当初から決めていましたが、佐藤くんはさらにナラシド♪のキラキラした瞳に「まっすぐに成長する子どもたち」を見たのか、子どもたちの顔にナラシド♪の目を合成するというアイデアを提案してきました。

 

 ポスターとしての目立ち具合が格段にアップするだけでなく、コアメッセージの「習う志」を強く表現する、とてもステキなアイデアでした。採用していただいた習志野市の方々にも感謝です。こうして習志野市内の小学校をお借りしての撮影を経て、ひとつめのビジュアルが完成しました。

 

 

 ところで今回は、自主提案により二種類のビジュアルを採用いただきました。もうひとつ、強い訴求ポイントがあると感じたからです。

 

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 先ほども述べた通り、私は習志野市のことはほとんど知りませんでしたが、津田沼という地名は総武線の行き先として良く見かけるので知っていました。名前は。

 

 結婚当初(私の話です)、田園都市線青葉台というところに住んでいたのですが、渋谷方面へ向かう上り列車に乗ると、だいたい「押上行き」でした。当時私は押上という場所を知らず、なぜか千葉県内の地名だと思い込んでいて、「この電車は千葉までつながっているのか」と勘違いしていました。

 

 東京のど真ん中と言っても良い場所を、なぜ千葉だと思い込んでいたのだろうと今になって考えてみると、「終点=遠い」というイメージを持っているからだと気付きました。つまり、電車の行き先として表示されることは、遠い場所だと思われる可能性があるということです。

 

 同じようなイメージを津田沼にも持っていました、遠いんだろうなと。しかしいざ行ってみると案外近く、実際東京まで28分しかかかりませんでした。距離にするとおおよそ30km。西東京だと国分寺辺りと同じ距離なのですが、これはまったくの通勤圏、いやどちらかと言えば近い部類に入ります。にもかかわらず東京都下に比べて地価は低く、さらには「津田沼戦争」と言われるくらい商業施設が乱立するエリア。誤解というのは恐ろしいモノです。

 

 ということで、リサーチを始めてすぐ感じた「近いなー」という感想を、ほとんどそのまま表現することにしました。東京のベッドタウンNo.1を意識して。やはり目立つことを重視してナラシド♪を起用し、とにかく東京に「近い」という表現に特化しました。頭の音符を構図内に納めるのに苦労しましたが、撮影の岩本さんにうまく納めていただきました。プレゼンの時、市の担当者の方がポロッと「これもいいですよねー」とおっしゃっていたのが、とてもうれしかったのを覚えています。

 

 

 ということで、この二種類のポスターは品川駅と東京駅に掲載中。弊社コンテンツ「ぱんきす」とナラシド♪のコラボ映像が同時期に京浜東北線トレインチャンネルで流れていますので、見かけた際はよろしくお願い致します。(アニメ「ぱんきす!2次元」のEDテーマとして、テレビ朝日「MUSIC LAUNCHER」内でも放送)

www.pankis.net

 

 習志野市は都心に近くて買い物にも不自由しないのに、とても静かで安心できる住環境が整っていました 。そして何よりも、感動のパン屋「ピーターパン」の存在感!このお店が近くにあるというだけでも、移住の価値があると思います!

www.peaterpan.com

 

 【PR概要まとめ】

B0・B1ポスター掲載:品川駅・東京駅(共に一週間)

ぱんきすコラボムービー放映:京浜東北線トレインチャンネル

             :テレビ朝日MUSIC LAUNCHER」内

 

 

 

CD:大橋隆昭

AD&C:佐藤塁

D:国安加奈、高砂

撮影:岩本真

P:後藤阿梨紗

AE&PM:濱口真衣